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暮らしの楽しみを伝えてくれる優しい言葉に学ぶ。中村好文さんの「建築家の住まいぶり」

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 こんな言葉で表現できるようになりたい。

こんにちは、ミニマリスト学生ブロガーのRINです。

 

ブログを書いていく中で私はよくカフェや旅行系の記事を書いたりしているのですが、おすすめの場所を紹介するのってやっぱり難しい。文章力は本当に鍛えたいな、と書けば書くほど思ったりします。

 

そんな中で、建築やスポットをとても分かりやすく素敵に書かれている建築家の本「建築家のすまいぶり」がとても参考になったので紹介します。軽快であたたかく、深みのある文章が魅力の訪問記。

 

建築家の自邸を訪ね歩いた訪問記

 「建築家のすまいぶり」は、住宅建築家として有名な「中村好文」さんが『INAX REPORT』で連載していたコラムをまとめた一冊。

 

この本が気になった理由の一つが、「中村好文さんが紹介する建築の文章が、柔らかく、あたたかく、建築を詳しく知らない人も楽しめるものである」ということ。そしてもう一つが「建築家の自邸を訪問した記録」ということ。

 

内容は、「中村好文」さんが24人の建築家の自邸に訪問された時に感じた自邸の良さや面白さをレビューのように書いていくもので、一人の建築家の自邸につき5~6ページほどで終わります。このサッと読めるコンパクトさが小気味良く、時間が空いた時に1話だけ読んで本を閉じる、という習慣を読み終わるまで続けていました。

 

しかし、一度読み始めてしまうとあっという間に引き込まれ、気づいたら5コラムも通して読んでいた、なんてことも。ほんとにワクワクする語り口なんですよね。

 

読み進めながらも、建築紹介でこんなに素敵な文章を書かれる大先輩から盗めるところは盗もうと強く決意…!特に気に入った文章があるページには付箋でチェックしていたのですが、気づけば付箋だらけになっていました。笑

 

せっかくなので今日はその中から気に入った、勉強になるなあと思った文章を建築と共にいくつか紹介したいと思います!

 

 

 

阿部勤さんの中心のある家

外観をしみじみ眺めた後、室内に一歩踏み込んだ時、真っ先に私の頭に浮かんだのは”巣”という言葉でした。それも小動物の”巣”ではなく、大型で心優しい動物の”巣”。その印象は阿部さんの声優ばりの艶のある低い声と、眼光鋭い面構えからの連想かもしれません。

多分私だけでなく、訪れた人は誰でもそこが”男の住まい”であることを直覚するはずです。

 

 ”巣”という言葉を聞くと安心した気持ちになるのは私だけでしょうか。

 

”巣”=”自分の住み処”みたいな感覚が私にはあって、一気に引き込まれてしまうワードです。しかも巣から阿部さんの人柄をくっつけ、いかにも想像しやすいような文章になっています。

 

自邸に入った瞬間の感覚を”巣”といういかにも分かりやすくワクワクするような言葉で集約させているところはやっぱりすごいなあと思います。

 

 

 

小林武さんのCASA-K

 結論から言えば、私の予想に反して、「CASAーK」からは、ル・コルビュジエの匂いもアラビックな雰囲気も思ったほど強く感じられませんでした。打放しの壁とヴォールト天井、全面タイルの床、その上に敷かれたペルシャ絨毯、ル・コルビュジエのデザインしたテーブル、室内を眺めまわせば、道具立ては見事に揃っているのに、そこから醸し出される雰囲気は、むしろ日本的と呼んでもよいものでした。

(中略)

床に座り込んで差し込んでくる冬の穏やかな陽射しを浴びて小林さんとお喋りしながら、私は民家の座敷や縁側にいるような錯覚にとらわれていました。

 

この文章は、中村好文さんが小林武さんの自邸を訪れる前に確かめたかったことを二つあげて、その予想はどちらも違った、と回想しているところです。

”ル・コルビュジエの匂い”や”アラビックな雰囲気”が分からないような人にもそれを分かりやすく説明し、かつそれも総じて小林さんの自邸は”日本的だった”とまとめる。「そう感じたんだ…!」と予想外の言葉で締めくくられる文章も多く、読んでいて良い意味で裏切られます。

 

引用最後の少しのほほんとするような状況の想像できる文章もすごい好きですね。

 

 

 

 

林昌二さんの私たちの家

家の内部を見学していてあらためて感心するのは、この家には居心地の良さそうな”お宝スポット”がたくさんあることです。

先ほど書いた庭を正面から眺める居間のソファーもいいですし、深い軒に覆われた縁側もじつに気持ち良さそうです。

そして、一階ではなんと言っても丸いテーブルを囲む、洋風茶の間のような雰囲気のあるコーナーを忘れるわけにはいきません。

ここには林さんがカウチと呼ぶベンチが造り付けられていて、その角のあたりに座ると、居間側からの視線が傍らにある暖炉の壁にちょうどいい按配に遮られるようになるので、自分の巣穴の中にスッポリとおさまったような安堵感に包まれます。

 

 “居心地のいい場所”と聞くだけでピクッと反応してしまうくらいには、私も居心地のいい空間が好きですが、この林さんの自邸は写真で見るだけでもとても居心地がよさそうで、素敵でした。

 

そんな素敵な自邸を、中村好文さんの言葉で紹介されると、余計に行きたさが勝らないはずがありません。笑

単に「居心地がいい」と終わらせるわけじゃなく、どこが居心地がいいのか、なんで居心地がいいのかを的確に書かれているのですごい参考になります。例え方も独特の切り口で面白い。

 

 

あたたかくて柔らかい、建築家の”言葉”と。

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 中村好文さんの書く文章は、建築について詳しくわからない私でも、気負わずに楽しく読めます。一緒にその住宅(建築)を見に行っているような気分になれ、読む度に訪れるワクワク感が夢中にさせてくれます。

世の中の建築について紹介する本には、難しい言葉や単語で羅列し、読む気になりにくいものも多々あったりします。

 

 でも、本来建築や家って私たちの生活と切っても切り離せないはずのもので。

公共施設とかももちろんですが、住宅なんかはそこに住む人の生活感や暮らしに対する捉え方が表れるもの。

だから誰だって建築を見るのは楽しいはずなんですよね。

 

私たちが、新居に引っ越すときの家選びにワクワクするように、

友達の家に遊びに行った時にワクワクするように、

  建築家が 素敵な建築を見た時に感じるワクワク感を、

実に楽しく書いてくれる。ある程度の経験を積まないと気づかないようなこだわりも、すごい分かりやすく表現してくれるんですよね。

 

その気配りと、優しくてあたたかい文章がとても好きです。

 

今後建築や カフェの居心地の良さを記事にするときは、恐れ多くも中村好文さんになったつもりで書きたいなーって思います

 

もちろん、建築家の自邸をたくさん紹介している、読み物としてもとても面白い一冊なのでぜひ読んでみてください。

 

 

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